I.序論

 北朝鮮において外貨稼ぎ事業は、対外貿易の一形態として、国家・政府・軍を始めとする全ての機関と単位において、自体の実状に合わせて外貨源泉を動員するか、さもなければ、又売り貿易を通して外貨を稼ぎ出す事業をいう。

 北朝鮮では、内閣の部署、外務省、教育省を始めとする各省、軍の軍団級部隊、行政単位の道・郡級において、外貨を自体で稼ぎ出すための事業を行うため、貿易会社と商社を各々持っている実状である。例を挙げると、咸鏡北道の場合、中国との辺境貿易を通して外貨を稼ぎ、道内住民のための食糧とその他生活必需品を仕入れる。

 外貨稼ぎには、群衆外貨稼ぎと忠誠の外貨稼ぎの2種類がある。群衆外貨稼ぎは、該当機関と単位において、外貨源泉を動員して輸出し、外貨を稼ぐか、代置物資に変える形式で行う外貨稼ぎをいう。忠誠の外貨稼ぎというときには、基本が金、砂金を掘り、それを金正日に捧げる形態の外貨稼ぎ事業である。群衆外貨稼ぎ事業は、行政において責任を負うが、忠誠の外貨稼ぎは、該当単位にある朝鮮労働党組織が責任を負っているのが凡例となっている。忠誠の外貨稼ぎのためには、道党と郡党直属で5号管理所がある。

 軍隊でもまた、群衆外貨稼ぎと忠誠の外貨稼ぎがある。忠誠の外貨稼ぎは、主として軍団級大連合部隊において行う。大体において、軍団級部隊は、自体で小規模の金鉱を所有しており、ない部隊は、民間人が運用する金鉱に入り、掘削を手伝ってその代価にいくらかの金を受ける。また、一部部隊では、民間人が経営する金鉱で掘った金鉱石を製錬してやり、その代価に金を受ける。軍中心の社会である北朝鮮では、軍隊が出れば、全てを解決しやすい。民間人の場合には、鉱石を掘っても輸送手段がなく、精錬所まで輸送できず、精錬できずに往生する場合が多い。

 金は、人民武力省の名前ではなく、該当部隊の名義で党中央委員会39号室を通して、金正日に捧げられる。こうすれば、金を捧げた部隊には、金正日の名前で与えられる贈り物が下賜される。贈り物は、主としてカラーTV、録音機、洋服生地等である。贈り物の種類は、39号室において定めている。1992年、金日成政治大学では、金正日50歳の誕生日に彼に金46kgを捧げ、その代価に金正日の名前でカラーTV400余台が贈り物として送られた。

 群衆外貨稼ぎの場合には、軍団級単位において、水産物、鉛、亜鉛等を輸出して、外貨を稼ぎ、その金を武力省銀行である金星銀行に入金し、必要なときに貸出を受けて使うことができる。この金には、部隊の戦力増強に必要な武器及び戦闘技術機材の維持付属と軍人の食生活に必要な豆、豆油、綿と肉類生産に必要な飼料等を買う。

 本文において北朝鮮軍の外貨稼ぎの実態とこれが戦闘力に及ぼす影響関係を分析することによって、北朝鮮軍研究を助けることがその目的である。

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最終更新日:2003/05/01

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